2012年3月1日木曜日

■ピーチ就航 北海道の観光誘客に期待



■ピーチ就航 北海道の観光誘客に期待
2012/3/1 8:56 日経Web

 全日本空輸系の格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)は1日、新千歳―関西国際線を就航。国内線のLCC運航は初めて。一部の便はすでに満席で「道内の観光客誘致の起爆剤になれば」(道内のホテル会社社長)との期待が高まっている。航空券はネットで販売するため、利用客は個人旅行者が中心。国内客だけでなく、どれだけ外国人客を呼び込めるかが焦点だ。

 ピーチは1日から新千歳―関空線を1日3往復運航する。1日の関空発と新千歳発の初便はすでに満席。目標搭乗率を75~80%に定めるが、計画を上回るペースで予約が入っているという。

 現在は予約客の9割以上が日本人だが、5月以降に関空とソウル、香港など結ぶ国際線を順次就航する予定で、今後は外国人の利用も見込む。

 航空券は自社サイトかコールセンターでのみ販売。旅行会社への手数料や団体旅行運賃を設定しておらず、旅行会社が企画するツアー商品は今のところないという。

 ピーチは札幌には事務所を置かない。新千歳で機体整備もせず低コスト化を追求する。個人が中心となるため、自動チェックイン機や手荷物の量に応じて追加料金がかかる料金体系など、国内でなじみがない仕組みのため、当初は利用者の混乱も予想される。

 道内ではピーチ就航を道内観光の呼び水にしたいとの期待が高まっている。楽天トラベルによると、ピーチの販売サイト経由で宿泊予約をした人の6割が、道内の宿泊施設を選んだ。3月に就航するのは新千歳のほかに福岡。「関空―福岡は日帰り圏だが、北海道は宿泊が必要。2人以上の予約が大半を占め旅行利用が多い」(楽天)

 価格志向の強い層の利用が目立つ。ピーチを通じて宿泊予約をした人の単価は5000円以下と、平均より3割安い。ただ一部に高級旅館の予約もみられることから、道内観光産業にとっては、LCCで節約した分を宿泊や食事に使う需要を掘り起こす必要がありそう。札幌国際大学観光学部の河瀬悟郎教授は「新幹線との競合がない北海道は航空運賃が高い。低運賃で搭乗できれば、新しい需要が生まれる」と説明する。

 今年は国内線LCC元年となり、今夏には日本航空が出資するジェットスター・ジャパン、全日空が出資するエアアジア・ジャパンが新千歳―成田線を就航する。国内客だけでなく、海外からの利用をどれだけ伸ばせるかも課題となる。






■格安航空ピーチが就航 関空から札幌・福岡へ
2012/3/1 11:02 日経Web

格安航空ピーチ・アビエーションが就航。滑走路に向かう第一便を職員が見送った(1日午前、関西空港)
 全日本空輸などが出資する国内初の本格的な格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションが1日、関西国際空港と札幌、福岡を結ぶ路線に就航した。札幌線を1日3往復、福岡線を4往復運航する。井上慎一最高経営責任者(CEO)は初便の出発後「従来と全く違うサービスモデルだが、かつてのコンビニエンスストアのように徐々に広がる」と述べた。

 午前7時定刻の札幌行きの初便、同7時20分定刻の福岡行きの初便ともほぼ満席。旅客機ファンや報道関係者の姿が目立った。札幌行きに乗った旅客機ファンの河村直樹さん(32)は「値段を考えると座席の狭さは許容範囲。また乗ろうと思う」と満足そうに語った。

 運賃は札幌線が片道4780円から、福岡線は3780円からで、食事や飲み物、手荷物預かりなどのサービスは有料。5月のソウル線を皮切りに国際線にも就航し、今秋までに関空と国内外の8都市を結ぶ計画だ。

 7月には日本航空などが出資するジェットスター・ジャパン、8月には全日空がアジア最大のLCCエアアジア(マレーシア)と組むエアアジア・ジャパンも就航する。LCCの参入ラッシュで消費者には選択肢が増える一方、従来型の航空会社を含めた競争が激化しそうだ。






■LCC初就航 安くても安全で快適に
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012030102000057.html
2012年3月1日 東京新聞

  国内初のLCC(格安航空会社)が今日から運航を始める。現行運賃の半額以下という低料金が売り物だ。海外LCCとともに空の大競争が始まるが、安全で快適な空の旅確保を忘れてはならない。

 初就航するLCCは全日本空輸や香港の投資会社などが出資したピーチ・アビエーション。午前七時に関西空港を離陸、札幌(新千歳)に同八時五十分に到着後、三十分後には再び関空に向けて飛び立つ予定だ。

 LCCの特徴は地上での待機時間を短縮し、機材の稼働時間をできるだけ長くすることにある。回転率や搭乗率、従業員の生産性を高める。さらに人件費や事務管理費などコストを最小限に抑えた薄利多売のビジネスである。

 ただ、低料金でも安全確保は最低条件。世界の主要LCCが最新型のエアバスA320やボーイング737などを使用するのも、機体の安全性を高め整備コストを抑えることが目的である。

 優れたパイロットの確保が欠かせない。最近、全日空系航空会社で発覚した尻もち事故や山への異常接近などは大事故になりかねなかった。LCCといえども「安い悪い」では済まされない。

 顧客サービスも拡充する。ピーチ社では身体障害者の搭乗をめぐり一時混乱したが、多くの人に楽しんでもらうためには顧客一人一人にきちんと配慮すべきだ。

 政府は「観光立国」を掲げ、主要国との間でオープンスカイ(空の自由化)協定を締結している。海外観光客の誘致にはLCCを含む航空会社への支援が必要だ。批判の強い航空機燃料税や高い着陸料、機体にかかる固定資産税などはもっと下げるべきだ。

 国内LCCは、七月から日本航空と豪カンタスグループ傘下のLCCなどによるジェットスター・ジャパンが運航を始める。八月には全日空とマレーシアの大手LCCとの合弁会社エアアジア・ジャパンが、成田空港を拠点に札幌や福岡路線を開設する。

 すでに韓国チェジュ航空やエアプサン、中国の春秋航空、マレーシアのエアアジアXなど海外LCC十社が国内に就航しており、新規参入の動きもある。

 日本の航空各社はこれまで羽田・成田両空港を拠点に安閑としてきた。LCC参入で新規客を発掘できればいいが、従来の需要層を奪い合うようになると消耗戦に陥りかねない。大競争が進めば世界の航空界のように、合従連衡が現実問題となることは必至だ。





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