2012年3月23日金曜日

■泉佐野市の命名権売り出しは、すでに広報戦略としては成功している



泉佐野市の命名権売り出しは、すでに広報戦略としては成功している
http://ohnishi.livedoor.biz/archives/51319861.html
2012年03月23日

大阪府の泉佐野市が市や市庁舎などの命名権を売ることを発表し、それが物議をかもしだしています。

「大阪府マクドナルド市」とか「大阪府GREE市」とか「サムスン市」とかがありえるのか、しかも契約期間が終わればまた名前が変わってしまうじゃないか、そんなのを買う企業があるのか、さらに地域の伝統や文化を捨ててしまうことにならないかとずいぶん世間を騒がし、多くの人の関心を呼びました。

ツイッター界隈でも話題になり、さっそくブロゴスが議論テーマに取り上げ、またそれにまじめな意見が寄せられています。はては売却先が内外の企業となっているで、領土問題にまでつながると壮大な妄想を描く人もいて、ずいぶん楽しませてもらいました。
議論:自治体の命名権、売っても良いと思う? - BLOGOS(ブロゴス) :

市長の真意ははかりかねるのですが、きっと、みんな釣られたのです。

いつもは冷静な論客の木走正水(きばしりまさみず)さんまで釣られています。
マクドナルド市とかサムスン市とか北京国瑞昇科技有限公司市とか(木走正水(きばしりまさみず)

この狙いが、広報のブーメラン効果にあったとすれば府に落ちます。ブーメラン効果とは、外部に情報発信して、それで話題になれば、内部に帰ってきて効果的な広報になることです。日産のゴーンさんが、日産の再生の際につかった方法としても話題になりました。

いくら泉佐野市の財政が悪化し、市民の皆さま、そのお覚悟をと迫ったところで、その切迫度はなかなか感じてもらえるものではありません。マスコミで取り上げられ、ネットでも話題になって、それが逆に地元に大きな衝撃となり、泉佐野市民の賢明な皆さまが、それは本気なのか、ありえない、名前をつける権利を売ったところで得られる収入は知れている、もっと他に賢い手はないのか、泉佐野市の恥だとお感じになったに違いありません。

泉佐野市民からみれば、副都心という夢を描いて税金を注ぎ込んだものの、バブル崩壊ですっかり空き家になっていた「りんくうタウン」も、昨今は大型店の出店が続き、また関空がLCCの拠点になるなど明るい雰囲気を醸しています。

しかし、市の財政は泉佐野市は、平成18年から平成21年にかけてはそれまでの実質収支の赤字から脱出していたのですが、平成21年度に財政破綻一歩手前の早期健全化団体に指定され、さらに平成22年度に実質収支が再び6億2千6百万の赤字となり、台所は火の車という状況です。財政再建団体の指名を受け第二の夕張市となる瀬戸際にたたされているのですが、その現状を市民の人たちがどれだけ認識しているかはおぼつかないところです。

思い切った財政再建策を実行するには市民の理解、また市職員や市に関係する人びとの理解が必要で、そのために、話題となり、またショック療法となる奇想天外なアイデアを持ち出したとしたら、なかなかの策士です。

しかも、もうすでに広報としては目的を果たしたと考えることができます。

買い手がつかなくともそれはそれで良し、ほんとうに売れたら売れたで、なおさら、広報の効果も上がってきます。こんな状態はほうっておけないと市民の財政への関心は高まり、市の事業が減っても、公共サービスが削られても、市民税をあげても、しかたないということになります。

企業のみならず、地方自治体にしても、経営が破綻するというのはそういうことです。なりふりかまっている場合ではありません。

そういう意味でも東電も破綻させるべきでした。突然の値上げ発表は、いまだに独占企業の座に胡坐をかき、利用者を軽視する体質が変わっていないことを物語っています。倒産させたほうが、社内の意識も変わり、経営再建に本気になってなりふりかまわず必死に取り組んだはずでした。日航の再建がそれを物語っています。それで経営が透明化され、株主や金融も責任も果たすことで、人びとの東電への不信感はかなり払拭できたのではなかったのではないでしょうか。




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