2012年7月3日火曜日

■大阪市政改革最終案 市民交流施設を「全廃」


大阪市政改革最終案 市民交流施設を「全廃」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20120628-OYT8T00120.htm
(2012年6月28日  読売新聞)

 大阪市が27日に発表した市政改革プランの最終案で、地域住民の活動拠点となっている10か所の市民交流センターと、出産や子育ての支援講座を開くなどしてきた5か所の男女共同参画センターを、2014年度中に全廃する方針が盛り込まれた。廃止撤回を求める多くの声を押し切る形での最終案決定に、利用者らの間には落胆が広がった。(浦野親典、冬木晶)

 市が市政改革プランの素案を発表したのは5月11日。その後のパブリックコメント(意見公募)で、素案への反対意見が1000件を超えたのは9事業あり、最多だったのが2845件、市民交流センター廃止に対するものだった。

 全施設で週1回開かれる無料の識字教室は、十分な学習機会を得られなかった住民や外国人らの貴重な学びやだ。同センターの「すみよし南」(住吉区)の教室に通っている日系ブラジル人、坂口みどりさん(72)は昨年、小学生が習う漢字を書けるようになった。

 「それまで、市役所から通知文が届くといつも隣近所の人に読んでもらっていた。仮に別の施設で実施されるとしても、有料だと通い続けるのは難しい」と、坂口さんは不安がる。

 「クレオ大阪」の愛称で知られる男女共同参画センターは、心理カウンセラーによる悩み相談も実施している。「中央館」(天王寺区)の沢田薫・企画課長代理(50)は「せめて相談場所はどこかに作るべきだ。区役所などで実施すれば、近所の人に会いたくないからと足を運ばない女性がいるのでは」と話し、女性の地位向上に努めてきた市地域女性団体協議会の吉村八重子会長(82)は「我々が積み上げてきた取り組みを無にしてほしくない」と訴える。

 このほか、放課後の児童を無料で預かってきた28か所の民間施設「子どもの家」への補助は、利用者に月2万円程度の負担を求める学童保育事業に移行することに。「じゃがいも子どもの家」(生野区)の新家茜施設長(32)は「有料になると、保護者の理解を得られない子どもたちが来られなくなる」と指摘する。

 市議会は今後、こうした声も参考にして最終案を審議することになる。自民党市議団はこの日、男女共同参画センターの存続など12項目の要望書を橋下市長に提出し、「市民サービスの質を可能な限り落とさないでほしい」と求めた。

◆子育て世帯支援説明していく

 市政改革プラン最終案の決定後、橋下市長が市役所で報道陣の質問に答えた。主な発言は次の通り。

 ――最終案に対する市長の評価は。

 評価は有権者が判断することであり、(有権者代表の)市議会に否決されてしまったら終わり。ここまでまとめた(市役所の)組織の力には十分満足している。

 ――パブリックコメントでは反対が多かったが。

 パブリックコメントは有権者全体の意見ではなく、それに左右されるものではない。全体的な判断をせざるを得なかった。

 ――市民の理解は得られると思うか。

 他都市との比較で標準を上回っている住民サービスについて少し是正をお願いして、子育て世帯に税配分を回したということ。子育て世代をみんなでサポートしようというメッセージをしっかり説明すれば、市民の多くの皆さんに支えてもらえると思う。

 ◆屋内プール9か所に縮小

 大阪市の市政改革プランの最終案で、住民サービスが見直された109事業での削減効果額は、今年度からの3年間で約399億円に上る。

 市民交流センターや男女共同参画センター以外にも、24か所の屋内プールが9か所に縮小されるなど、廃止・縮小される施設や事業は多い。




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