2012年5月2日水曜日

■【コラム】世代格差生む高齢化


【コラム】世代格差生む高齢化
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/05/01/2012050100991.html
2012/05/01 12:09

 「どうか子供たちに生前相続をさせてください」。日本ではリタイア世代の生前相続(贈与)を促進する各種制度が導入されている。子供に家を買い与えた際は税金を減免するなどの恩恵が与えられるというものだ。韓国なら投機を招く政策だと批判されるところだが、日本では誰も批判しない。むしろ育児や家賃などの負担が重くのし掛かる現役世代を救える効果的な政策だと評価されている。

 長寿社会の日本では、子供が親の財産を相続する時点で60代というケースがほとんどだ。60代で相続しても、親と同じように一生懸命、節約に励む。このため「日本の膨大な金融・不動産資産は60-90代の間でだけ循環している」と言われるほどだ。

 「日本の長期不況の原因は『お金を使わない金持ち高齢者』と『お金がなくて消費できない貧しい若者世代』という社会の二重構造にある」という見方が登場、さまざまな方策が出されている。「大阪維新の会」という地域政党はこのほど「資産が多いリタイア世代は年金保険料を払っても年金を支給しない」という公約の指針を掲げた。リタイア世代に年金を払う代わりに、お金のない若者に支給し、消費を促進させようというのだ。リタイア世代の貯蓄に対し課税し、強制的に消費するよう誘導しようという主張もある。全金融資産のうち60代以上が保有する割合は1999年の49%から最近は61%に達するなど、時間がたてばたつほどリタイア世代に資産が集中する現象が深刻になっているためだ。

 「資産を持つリタイア世代が景気回復の救世主になる」という待望論も一時出たが、水の泡と消えた。リタイア世代の多くは持ち家があり、退職金も年金も受け取っているので、消費を主導するという期待がかけられた。しかし、年を取り、病気や孤独の中で世話をしてくれる人もなく1人で死んでいく「孤独死」を何度も目撃してきた高齢者たちは、現金は最後の最後まで握っていなければならないという教訓を得た。

 韓国では物価を安定させるため政府や中央銀行が苦心しているが、日本では正反対だ。日本銀行は先日、「来年は必ず物価上昇率を引き上げる」として多額の資金を追加開放することを決めた。消費低迷で物価が下落、生産が減り、賃金も下がるという景気低迷の悪循環が続いているためだ。また、物価下落は、現役世代とリタイア世代の世代格差をより深刻化させる「主犯」でもある。物価下落は賃金下落・税収減少を招き、財政難を深刻化させるため増税につながるから、現役世代の負担を増やす。その一方で、リタイア世代にとっては物価が下がれば年金の価値が相対的に高まることになる。日本政府がこのほど消費税を5%から10%に引き上げるとしたのは、高齢者福祉負担が増加しているからだ。だが、これに対しては「貧しい若者の財布をはたいて金持ち高齢者に小遣いを与えようとする政策」と批判の声が上がっている。

 韓国も少子高齢化に伴う低成長社会時代の到来を目前にしているが、政府は明確な対策やシナリオを立てていない。高齢化は社会・経済構造はもちろん、政策まで180度変えてしまうほど恐ろしい破壊力を持っている。無為無策で高齢化という「津波」に巻き込まれたくなければ、遅ればせながら今からでも対策を立てるべきだろう。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版



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