2012年6月7日木曜日

■大阪市 年100億円タダ乗り高齢者…40年間のタブー、踏み込めるか


大阪市  年100億円タダ乗り高齢者…40年間のタブー、踏み込めるか
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120607/waf12060710310008-n1.htm
2012.6.7 10:30

 「聖域」「地雷」。大阪市議や市職員が、ある行政テーマについて説明する際に口にした言葉だ。70歳以上の大阪市民が市営地下鉄、バスを無料で無制限に利用できる「敬老パス」事業。話し手は「触れてはいけないものだった」という感覚を伝えるため、これらの言葉を選んだ。

 5月に東京から大阪に転勤し、市政担当に配属された直後、財政再建に向けた市政改革プランの素案を取材した。敬老パス事業については、利用額の上限設定や利用者負担など5つの案が盛り込まれた。


解決めざした歴代市長、市議…猛抗議で頓挫


 事業は昭和47(1972)年11月、高齢者の社会活動を促進するために始まった。48年度の利用者は約9万3千人、事業費は約2億4900万円だったが、高齢化とともに数は伸び、平成22年度は約34万5千人、約78億9千万円に達した。過去には年間80万円分を利用する人もいたといい、32年度には事業費は100億円を超えると試算されている。

 膨らみ続ける事業費。関淳一元市長、平松邦夫前市長も見直しを試みたが、そのたびに市民や議会の反発で頓挫した。街中で抗議のビラがまかれたといい、市議は「事務所に見直し反対の電話が殺到した」と振り返る。こうして敬老パスは「聖域」であり続けた。


東京都は年2万円を負担さす


 だが今、橋下徹市長が代表を務める最大会派、大阪維新の会の市会議員団のほか、第2会派の公明も、利用者負担を見据えた見直しを検討している。そのきっかけの一つとして、過去の見直し論議を挙げる市議もいる。「あれを契機に敬老パスについて市民と対話する機会を継続的に持つようになり、財政的に立ち行かなくなることを説明してきた」

 他都市でも同様の事業はあるが「無料、無制限」ではない。東京都の場合、原則、住民税課税対象者には年2万510円、非課税対象者にも千円の負担を求めている。このデータを支持者に示して「ある程度の負担は必要」と理解を求める市議もいるし、深夜まで市役所に残り、制度改革の在り方に頭を悩ませる市議もいる。

 記者人生で政治を本格的に取材するのは初めてだが、今まで勝手に頭の中で作り上げていた「票獲得に動く議員」像と違い、現場には、市民生活と真摯(しんし)に向き合う姿があった。

 私も市政担当記者として、数字など表面的なものだけでなく、現場の覚悟や息づかいを伝える記事を書いていきたいと思っている。



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